作品タイトル不明
まず今後について。
「変な時間に起きたな……」
時刻は夕方、眠い。
朝日が昇った後に帰宅し、そこから昼まで説教タイムとなった。
騎士であるイリアスのスタミナと非力な地球人とでは差がありすぎるのだ。
ようやく解放されたと同時にすやすやと眠って、起きたのが夕方というわけだ。
喉が渇いたので水を飲みに一階へ降りると居間ではイリアス家の住人がくつろいでいた。
「ししょー、おそようございます?」
「おはようウルフェ。昼に眠ったんだ、早起きな方だぞ」
「尚書様、あまり変な生活習慣をつけると体に悪いですよ?」
「それを言うならイリアスに言ってくれ」
「自業自得だろう。隠し事は無しだと言う話だったのに名前を偽っていたことを今の今まで隠していたのだからな」
未だに不機嫌なイリアスさん。
仕方ないと言えば仕方ない、『籠絡』の力がある以上こちらから本名を聞き出すことができないのだ。
イリアスにこっそり教えたとしてもそれを知った紫の魔王が『籠絡』の力をイリアスに使えばいくらでも名前を聞き出すことができる。
自分の物にすることを諦めたとは言え、目の前にチャンスをぶら下げられては再び欲が湧くのも生きる者としての性である。
「昨日も言い訳させてもらったが隠していたと言うわけじゃないんだがな。『俺』はそもそも名前をいくつも使い分けていたんだ。この世界では一つの名前、サトウイチロウで通してはいるんだぞ?」
「今まで呼んでいた名前が偽りだった者の気持ちを考えたことはあるのか?」
「その辺は悪かったと思っているから説教を素直に受けたんだ。そもそもお前等の中でサトウイチロウの名前で呼んでる奴いねぇだろ」
「……そういえば人に紹介する際に使った程度だな」
「言われてみればそうですね。尚書様の名前を聞かされても尚書様と呼んだ方がしっくり来たので」
「ウルフェもししょーがよびやすいです」
「妾も御主としか呼んでおらんの」
「おう、そういう技術があるんだよ。適度な距離感を維持することで名前を呼ばせない方法がな」
地球(あちら) の世界にいた時は目立たないことを意識して生活していた。
何せ名前を覚えられることすらも避けての生活だったのだ。
色々模索し名詞呼びよりも代名詞呼びしたくなるような距離感の維持方法を身に着けたのである。
「カラ爺は坊主、マーヤは坊や、陛下は君で、ミクスはご友人……まさか会う人全員にやっていたのか?」
「おう」
「おうって……そんな高度な技術……」
「こちらからしたら剣を振るより楽なんだがな。コツはこちらを代名詞で呼んでくれた時に良い気分にさせることだ」
それでも名前で呼んでくる相手もいるがそういう時は気づかないふり等を繰り返し、代名詞呼びでのみ反応するようにするなど細かい調整をして徐々に覚えこませる。
そこまでやってダメな相手は諦め距離を取る。
他にも色々なコツがありますが割愛。
水を飲んで居間の椅子に座るとその上に金の魔王が座ってくる。
何という違和感のない流れ、だがツッコミは入れなければ。
「流れるように人の上に座るなよ」
「良いではないか、此度の件は妾も活躍したのじゃぞ?」
さっさと尻尾を撫でろと人の顔を尻尾で叩く、モフい。
「どうせこれとは別に褒美を寄越せと言うくせに」
「労えと言うておるのじゃよ。一国の王をこき使ったのじゃからな」
「へいへい」
懐から櫛を取り出し尻尾のブラッシングを行う。
「ほう? 準備が良いの、撫でられるのも良いがこれも悪くないぞ」
「合間にちょうど良いだろうなって買っておいたんだよ」
紫の魔王と一緒に街を巡った時に自分の買い物をする暇もあったからな。
とは言え私物なんてほとんど持たないなんちゃってミニマリストなので誰かに買う又は使う物をチョイスしていたのだ。
「と言うか金の魔王、問題はもう解決したんだしガーネに帰らないのか?」
「仕事はしておるからのう、分身体をこっちに残すかガーネに残すか程度じゃ」
「ルドフェインさん辺りならそろそろ違和感に気づきそうなものなんだが」
「アレは仕事外での付き合いを全くせん奴じゃからな。見た目は良いので優遇しておるがの」
「側近ぽいのに、慕われていないんだな」
「実力は認められておるがの。魔王である身分を隠しておる以上、距離を取らざるを得ぬのは仕方のないこと」
淡々と語っているが金の魔王からすればガーネで最も距離が近いのがルドフェインさんだ。
少なからず交友関係を築きたいと言う思いもあるだろうに。
「帰れと言われれば帰るがの」
「それ言うとマリトが笑顔で帰れと言うぞ」
「ふん、あの若造に言われようものなら意地でも居座ってやるわ。ところで『紫』はどうするつもりじゃ?」
紫の魔王はひとまず宿に戻っていった。
デュヴレオリの治療が終了すれば国内で狙われたところで危険は少ないだろう。
一応念の為マリトが騎士達に周囲の警戒を行わせている。
メジス側の万が一もあるだろうし国内の騎士達にも情報が漏れ始めている以上、過激な者達による要らない勇気を発揮されるでき事が起こらないとも限らない。
「まずはマリトと相談だな、遅かれ早かれ国内の騎士やユグラ教の耳にも入ってしまうだろうし最悪一緒に国を出る選択肢もあるんだよな」
世間一般には未だ魔王の復活は知られていない。
しかし聖騎士団には既に魔王の復活の情報が流れていた。
ユグラ教に伝わっている以上情報の伝達はそう遠くないと見るべきだ
脅威をポンと国内に置いていては不安に思う国民も生まれるだろう。
「では今から向かうのか? ならば鎧に着替えてこよう」
「ああ、だけど先に寄る場所がある」
「それはどこだ?」
「教会、マーヤさんの所だ。ラクラも来いよ、割と大事な話がある」
「私もですか?」
その後準備を済ませマーヤさんの教会へと到着。
ユグラ教の教会に魔王を連れて行くのは気が引けたがウルフェも同行したいと言い、一人残されるのが嫌だと金の魔王も付いて来た。
「まさか本当に魔王と会う日が来るなんてね」
「今はガーネ国王としての立場の方が大きいからの。あまり気にするでない」
「そうね、坊や関連であまり気にしていたら老け込んじゃうものね」
マーヤさんのリアクションはそこまでオーバーではない、何と言うか達観している。
毎回事が終わってから報告しているものだから慣れさせてしまったのかもしれない。
「ヨクスとか言う若造に比べ物分かりの良い聖職者じゃの」
「見た目が可愛い亜人でイリアスも脅威に感じていないのに私だけ気を張ったら損じゃない」
「可愛いとはなんじゃ、綺麗と言わんか」
「それで坊や、私のところに来た理由は何かしら」
「それはですね……エクドイク、もういるか?」
適当に声を掛けると物陰からエクドイクが現れる、普通に登場できないのだろうかコイツは。
「来ているぞ同胞。それで約束通り解説をしてくれるのだな、ラクラ=サルフが我が『 盲(めし) ふ眼』を扱った秘密を」
「ああ、あれってそういう名前の技なんですか」
「そうだ、あれは我が父ベグラギュドより与えられた大悪魔の特異性だ」
「ちょっと待ちなさいって。私にも状況を説明してくれないかしら?」
とりあえず事の顛末をマーヤさんに説明。
紫の魔王との決着を付けたことにも散々驚かれたがそこは置いておく。
そしてデュヴレオリとの戦闘中にラクラがエクドイクの『 盲(めし) ふ眼』を使った時の説明を詳しく話す。
「目と鼻の先で随分と色々やってくれたみたいね。でもなるほど、それで坊やは私のところに来たというわけね?」
「推測が合っていればマーヤさんなら詳細な説明もできると思いまして」
「そうね、貴方の推測は当たっているわ。それに運が良かったわ、何日か前にちょうどその裏付けが取れたところよ」
「そうですか、やはり……こんなことってあるんですね」
「そうよねぇ、でも良くそんな推測に至れたものね。頭が柔らかいのかしら」
「いやいや、以前マーヤさんが――」
「話が見えん、分かるように説明しろ!」
マーヤさんとしみじみと話していると待ちきれなかったエクドイクが割って入る。
この事実はエクドイクにとってはかなり驚くべきことなのでなるべくショックを受けないように説明をせねばなるまい。
「エクドイク、ラクラは貴方の妹よ」
あ、ざっくりいかれましたか。
そしてその問題発言で周囲が凍り付く。
「……すまない、言葉の意味が理解できなかった」
「貴方の母親を見つけ出して名前も確認できたわ。貴方の本名はエクドイク=サルフだったのよ」
エクドイクが放心している。
ラクラの方は……何とも言えない顔をしていた。
でもこういう顔のラクラは結構好みかもしれない。
「大悪魔ベグラギュドに与えられた貴方の力をラクラが使えたのは血の繋がりのせいね。大悪魔程の魔物にもなるとその力には意識せずとも呪いを帯びている個体もいるわ。呪いは該当の人間だけでなく血の繋がった親族に影響を及ぼしたりした事例も報告されているの」
小説や漫画で読むファンタジーストーリーで勇者が魔王を倒した時に呪われるって奴に近い。
「ベグラギュドの眼ってのは本物を移植するってわけじゃなく、そういった特異性を継がせると言ったものなんだろ? ならそれは呪いの類に近い」
「ええ、坊やの言う通りね。その推測が一番近いはずよ」
最終的に多くの大悪魔の特異性を引き継いだデュヴレオリの時もそうだ。
駒の仮面を経由することで力の受け渡しができるのならば別の要因によって力が受け渡されることもあるのだろう。
他にもラクラがベグラギュドを倒した際に何かしら呪われ、それがエクドイクと接触することで変化が起きた、と言ったことも考えられるが詳細はベグラギュドすら知りえないことなのだろう。
「……少し一人にさせてくれ」
そういってエクドイクは姿を消した。
『 盲(めし) ふ眼』を使えた理由もそうだが親の仇であったラクラが実の妹だったと言うことは何よりもショックだったのだろう。
「ラクラとしてはどうだ?」
「……実感はなんとも言えない感じです。ただエクドイクさんにはどうも他の人と違った苦手意識があったので、兄だったと言われたら逆にすんなりと納得できました」
ラクラとエクドイクの二人は真逆に近い。
目的の為に熱心に取り組むエクドイク、楽に生きられればそれで良いラクラ。
兄妹としてはちょうど良いバランスなのかもしれない。
似ているところと言えば髪の色程度だろうか。
魔法を器用に使って戦う箇所も……いや微妙に違うか。
「しかしベグラギュドを倒したラクラの背景がどんどん複雑になっていくな」
その存在に気づくことなく倒したベグラギュド。
実は自分の母親の故郷の村を襲い、兄を誘拐。
さらにはその兄を人類に牙を向ける戦闘マシーンに育て上げていた怨敵だったと言うわけで。
しかもエクドイクとラクラに大悪魔の力を与えることになっていた。
「でも記憶にないんだよな」
「ないんですよねぇ……」
「ただこれから先エクドイクはどうなることやら」
「流石に幼いころに生き別れになったともなれば感慨深いものもあるんでしょうけど……何とも言えませんよね」
「だろうな、とは言えエクドイクは人間としては裏表のない良い奴だ」
「私としては何とも、甘えられるような兄でもないですからね。尚書様くらいに甘えられるなら嬉しいのですが」
「甘やかしているつもりはないんだがな」
「そう思っているのならそのままで良いですよ」
ウルフェに比べて随分厳しめにしているつもりなんだがな。
「しかし母親には報告してしまったんだよな?」
「ええ、メジスにいる知り合いに動いてもらったのだけれど、とても喜んでいたそうよ。会う資格がないことは重々承知だけどエクドイクもラクラも生きていると言う話を聞けただけで充分だともね」
片方は悪魔に奪われ、もう片方は難民状態で満足に育てることができずに他者に託してしまった。
親として失格だと言われてしまう立場かもしれないだろうが、本心から手放したかったわけではないのだろう。
メジスに立ち寄る機会があれば上手いこと顔合わせだけでもさせてやりたいところだ。
「ところで私はエクドイクさんのことを兄さんと呼ばないといけないのでしょうか?」
「そこは好みで良いと思うぞ。年の差も大したことないし互いに大人なんだ。エクドイクの方はフルネームで呼び辛くなったろうけどな」
「それは助かりますね」
その後マリトの元へ向かう。
ラクラと金の魔王は買い物に行くと言ってふらりと別れた。
金の魔王とマリトの相性は言うまでもなく、ラクラもマリトが少し苦手な模様。
どうも偉い人特有のオーラは逃げたくなるとのこと。
その話を聞いて金の魔王が物凄く何かを言いたそうな顔でラクラを見つめていたがそのまま一緒に、と言った感じだ。
「確かに国内に魔王を置いておくのは難しいだろうね」
「既に金の魔王が居座っているという問題もあるんだがな」
「そっちはどうにか強制退去させたいね。紫の魔王の性格は嫌いじゃないけど紫の魔王はユグラ教からすれば二番目に恐れられている魔王だ」
一番は言うまでもなく先んじて人間達に宣戦布告を行った『黒の魔王』だ。
だがそれを抜きにすると現状最も危険視されている魔王が紫の魔王と言うことになる。
実力で言えば『碧の魔王』や『緋の魔王』の方が高いのだろうが支配力に関しては紫の魔王の方が影響力が高い。
『籠絡』の力で要人を取り込んでいけばそうなるよな、うん。
「そうなるとやっぱ俺がターイズを出るしかないのか」
「その必要はない、と言うよりそうされると困る。エウパロ法王も同じ考えだと思うよ」
「最重要危険人物を目の届く所に置いておきたいわけか」
「そゆこと」
魔王二人と協力関係にあり、禁忌である蘇生魔法にも手が届くだろうとされている勇者と同じ星の民。
人知れず離れたところに行かれるよりかは近場で動向を見守りたいと言ったところか。
「つってもな、紫の魔王だけにどっか行けとか言ったら拗ねて何かしらやらかすんじゃないのか」
「それはないと言えないのが女性の嫉妬心の強さだからねぇ」
女性云々と言うより金の魔王が好き勝手に国に居られるのに自分だけ退去となれば不満は溜まる。
慎重な時は慎重だが大胆な時はとにかく大胆なのが紫の魔王だ。
こちらの処遇と同じく、なるべく近いところに置いておきたいという気持ちはある。
「山賊の拠点跡地に別荘でも作らせるか?」
「ああ、それ良いね。確かエクドイクが開拓していた筈だしちょうど良いかも」
「エクドイクか……」
「どうしたんだい?」
マリトに先ほどのでき事を話す。
「いやはや驚いた、似ない兄妹もいたものだね」
「全くですね、今世紀最大の珍事と言えるでしょうね」
「しれっと加わってくれるな暗部君」
現在この部屋にいるのはマリト、イリアス、ウルフェだ。
話に加わるにはちょうど良い面子だ。
「ししょー、しらないひとのこえがします!」
「こうして話すのは初めましてですねウルフェさん。私は――なんか見えない人です」
「おー、においもしないです!」
「お風呂はしっかり頂いていますので」
そういう問題なのか、違う気がする。
ウルフェは驚いているが警戒していると言った素振りがない。
対するイリアスは少々緊張感が増したのだろうか。
「それにしてもラッツェル卿、ウルフェさん。お二人は短期間で見違えるほどに強くなられましたね」
「はい、つよくなりました!」
「確かに強くなりましたが……今までちゃんとした技術を身に着けていなかった事を知って少し面目ない気持ちです」
「ですが 人(・) と(・) し(・) て(・) はほぼ頂きに近い位置におられますよ」
イリアスやウルフェはラグドー卿にも負けない強さを身に着けた。
と言うことは暗部君との力量差も随分と狭まったのではないだろうか。
「イリアス、ちなみに今の状態で暗部君の相手ってできるのか?」
「……無理だ」
「無理か」
「一足飛びで強くなったからこそ分かるが、陛下の護衛の方は何かが違う。剣で斬り合うのとは違う強さを持っている」
「そこまで分かるのでしたら重畳、ウルフェさんはどうですか?」
「ちょっとやってみたいです!」
「なるほど、ではこの場で少し遊んで見ましょうか」
「おい、人の部屋だぞ」
「問題ありませんよ陛下。ウルフェさん、構えて下さい」
その言葉を最後に暗部君の声は聞こえなくなる。
ウルフェは言われたとおりに構え、周囲に神経を集中させる。
だが突如ウルフェが一回転し地面に叩きつけられる。
まるで見えない人間に組み伏せられているかのようだ。
突然のでき事にウルフェは全く反応ができていなかった。
「はい、これで貴方は一回死にました」
すぐに拘束が解けたのかウルフェは慌てて起き上がる。
先ほどの呑気な顔は無くなり、戦闘時の集中した顔になった。
「一回で終わりですよ。私は誰かを躾けたり鍛えたりするのに向いている性格ではありませんので」
「……はい」
しゅんとするウルフェ。
肌でその強さを感じ、雲の上にいる相手の強さを知ったと言ったところか。
暗部君のステルスは想像以上に極悪のようだ。
「俺が言うのもなんだけど、良い拾い物だったよ」
「もちろんです。陛下はそれだけで人生の運を使い切ってもおかしくない次元ですよ」
「そこまで言うか。ところで以前出会った『無色の魔王』と暗部君はどっちが強いんだ?」
「そうですね、あの方は直接戦闘が得意ではないようでしたからね。直接戦闘なら私が、何でもありなら互角かやや私が不利と言ったところでしょうか」
「その辺は謙遜するんだな」
「あの魔王は『碧の魔王』より強いですからね」
そういやこの勇者の子孫、本気で戦うと『碧の魔王』が起きるとかなんとか言っていたよな。
因縁持ちなのは推測できるが、実力も知っているのか。
直接『無色の魔王』と遭遇した身としても、イリアスやウルフェが二人掛かりで挑んだとしてアレには太刀打ちできない気がする。
何というか違うのだ、生きている次元が。
「『碧の魔王』とイリアス、ウルフェはどんな感じだ?」
「『碧の魔王』ですね間違いなく。『緋の魔王』なら二人掛かりで良い勝負ができるかと」
『黒の魔王』『碧の魔王』『緋の魔王』はそれぞれが直接戦闘に長けていると聞いている。
これほどまで強くなったイリアスやウルフェでもその中で最も序列の低い『緋の魔王』をどうにかできるかもしれない程度と言うわけか。
それでも凄いっちゃあ凄いのだが。
「戦闘に特化した魔王は出鱈目に強いんだな」
「それはもちろん。貴方が下に付けた『紫』も『金』も戦闘向けの魔王ではありませんからね。あまり浮かれすぎないように」
全部の魔王を単騎で倒した湯倉成也のスペックが非常に気になるところ。
魔力量だけで言えばウルフェも負けていないらしいのだが、やはり何か根本的な物が足りていないのだろうか。
「別に魔王を二人仲間につけたからって天下を取ったつもりとかにはならないさ、どうにか無難に生きていく道を模索するだけで十分だ。後下に付けたんじゃなく仲間にしたと言っておこう」
「ですがユグラとは違った方法で魔王を攻略している貴方の功績は見事です。その辺は自信を持っていただかないと、過度な謙遜は他者への負担になりますよ」
「上げたり下げたり、どっちだよ」
「両方ですよ」
「なるほど両方か、確かにな」
自信は持て、されど慢心するなってところか。
良いとこ取りをするのは嫌いじゃない、肝に銘じておこう。
その後紫の魔王の新拠点についての話を進め、ある程度まとまったところで話は終わった。
あとは当人に相談することになる、果たして穏便に済めば良いのだが。