軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19話 儂が裁く

「なっ!?」

仲間の首が宙を舞うのを見て、生き残った盗賊達の顔が綺麗に凍りついた。

その硬直こそ命取り。

儂は間髪入れず、最も近い男の腹へ剣を突き込む。

鎧もない、筋肉も大したことはない。

すんなり通り、向こうまで貫いた。

「が、はっ……!」

「死ねい」

そのまま横に払い、腹を裂いた。

死体が崩れる前に蹴り飛ばし、奥にいた盗賊どもへぶつける。

案の定、動揺と嫌悪で足が止まる。

「お、おい! どかせ!」

「て、てめえ、なんなんだよ!?」

「儂か?」

血を払いつつ言う。

「敵じゃよ」

まっすぐに言い切ると、さらに空気が揺れた。

盗賊どもは人を殺すことには慣れているのだろう。

だが、仲間が一瞬で肉塊へ変わることに慣れてはいない。

しかも、それをやってのけているのは、金髪の幼女だ。

悪夢としては十分だろうな。

「囲め! 囲めぇっ!」

「数で押し切るんだ!」

「侮るんじゃねえぞ、こいつ、ただのガキじゃねえ!」

やっと正しい判断をしたか。

洞窟内の広い空間にいた十数人が、じり、と儂を囲む。

数の暴力。

普通なら、それは十分に脅威。

だが……

「全員、死んでもらうぞ?」

笑って、そう告げる。

そこから先は、一方的だった。

一人目の剣を受け流し、喉を裂く。

二人目の脇腹へ肘を入れて体勢を崩し、返す刃で首を落とす。

三人目は怯えて半歩遅れた。だから胸を真横に裂く。

四人目と五人目は同時に来たが遅い……大剣を大きく振り回し、二つまとめて薙いだ。

洞窟の壁に血が散る。

熱気の残った空気に、鉄の匂いが濃く混ざる。

それでも止まらない。

むしろ、こういう場ほど前世の感覚が鮮明になる。

戦場を駆け、敵を断ち、国を守るためだけに剣を振るっていた頃の感覚。

ただ違うのは、今は前世以上に、怒りがはっきりしていること。

村で泣いていた子供。

家族を失って膝をついていた男。

それを思い出す度、刃がさらに冴えていく。

「……お主らには」

一人の肩口を断ちながら言う。

「儂の裁きを受けてもらう」

「ひっ……!」

「我が国の民にしたこと、そのまま返してやるぞ」

最後の一人が、腰を抜かして後ずさった。

「ば、バカな……なんで、なんでこんなことに……」

「儂に言わせれば、お主らの方が馬鹿じゃろう」

剣先を向ける。

「散々、他人を殺しておいて、どうして自分らは殺されぬと思えるのじゃ? その自信、どこから来るのか本当に不思議じゃぞ」

男は何か言い返そうとしたが、その前に膝から崩れた。

恐怖と失血で、もう立っていられないのだろう。

だが、情けはかけない。

「仲間のところへ逝けい」

「ぎゃあああ!?」

最後の一太刀で息の根を止めた。

洞窟に静寂が落ちた。

生きている気配は、もうほとんどない。

……ほとんど、ということはまだ少しはいる、ということだ。

「さて……おこぼしはなしにせんとのう」

さらに洞窟の奥に向かう。

こういう時、最後の生き残りを見逃すと面倒なことになる。

ゴミ掃除は徹底してこそなんぼ。

一つ一つ、作られた部屋を確認する。

幸い、単純な作りなので迷うほどではない。

そうして最奥へ辿り着いた時、思わず足を止めた。

「……ほう」

そこは、今までよりずっと広い空間だった。

ちょっとした広場ほどある。

奥に、男が一人。

そして、その近くには……

「ランドクローラー、か」

二足歩行の巨大な魔物で、通常、『陸上の竜』

竜の亜種であり、地上限定でなら最強格とされる魔物だ。

しかも、首輪と鎖付き。

なるほど、飼い慣らしていたわけではないにせよ、無理やり使っていたのか。

男は汗だくで、だが、まだ目が死んでいない。

必死に頭を働かせてピンチを脱する機会を伺っている。

おそらく、こいつが最後の一人で……そして、盗賊団のが頭脳役だろう。

「くそっ……もうここまで来るのか」

「うむ、来たぞ」

「まだ調整も終わっていないというのに……!」

「それは残念じゃのう」

肩をすくめる。

「で、おとなしく殺されてくれる気はあるかのう?」

「ふざけるな!? そこは投降を勧めるところだろうが!」

「笑わせるでない」

怒りがまた胸の奥から湧いた。

「村で何をした? 何人泣かせた? どれだけ奪った? その上で、自分だけは裁かれぬつもりだったのか? ……本当に笑わせてくれる」

男の顔がひくつく。

「因果応報。自分のやったことに責任を持て。そして、しっかりと受け止めてみせるがよい」

「こ、このガキは……」

「お主は死刑じゃ。儂が今、そう決めた」

「し、死神……? いや。まるで、そう……戦場を駆けて裁定を下す、戦乙女じゃないか……」

「ほう? よいな、それ」

儂はニヤリと笑い、地面を蹴り前に出た。