軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

王都への帰還−1

次の日にはスプルギティ村からゲラノスまで戻ってきた。

モイラおばさんの準備は流石に一日では終わらず、ゲラノスで何日か待つ事になる。

スプルギティ村から帰ってきたらドラゴンが三体になっているので、当然ゲラノスに着いた時は大騒ぎとなってしまう。

離れた場所でドラゴンから人型になってから近づいたのだが、離れているとはいえ街から見えてしまったようだ。

「キャサリン殿下、事前に連絡を頂きたく」

「連絡はしようと思ったのですが、大鳥だけでは襲われると言われてしまって」

「確かにスプルギティ村からですと襲われます。ドラゴンと一緒に飛べば襲われないのですか……。」

キャサリン殿下と領主代理のマシュー閣下が街の騒動を何とか収めたようだ。

トレイシーでドラゴンに慣れたのか最初よりは随分と早く騒動が収まった。

モイラおばさんを待つ間、ゲラノスでは領主館に泊まっていたのだが、領主代理のマシュー閣下にアレクシア伯爵の子供であった事を知らなかったと謝られた。

アレックスも母が伯爵である事を知らなかったので、気にしないで欲しいと伝えた。

母が伯爵だと知らなかったのには当然驚かれた。

伯爵である母を一目見たいのか、領主館では色々な人が母を見ようと頑張っているように思える。

侍女がよく母の部屋の前を通っているのを見かける。

母は時々ゲラノスにも来ていた筈だが、知られていなかったのかもしれない。

父と一緒に行動する時以外は、ケリーに乗って移動していたが、街の近くで降りて、走って街まで向かっていたと聞いたことがある。

母の身体能力であれば、ちょっとの距離でもすぐに辿り着くらしい。

「ゲラノスでこれなら王都に行ったらどうなるんだろ?」

「直接何か起きると思えないけど、どうしようもなくなったら、キャサリンが家を用意すると思う」

「なんか悪いな」

母の部屋の前でメグとそんな話をする。

ゲラノスに戻ってきて三日目にモイラおばさんがやってきた。

モイラおばさんはキャサリン殿下との話し合いにアレックスも参加する事になる。

その場にはエリック殿下も居た。

家族との話し合いや、診療所の引き継ぎをしていたら思ったより準備に時間がかかったと、キャサリン殿下に謝っている。

キャサリン殿下は気にしないで欲しいと伝えており、出発は明日以降にすると話している。

「しかし、キャサリンが二人を連れてきたみたいに見えるな」

「エリックお兄様、私が連れてきた訳ではありませんよ?」

「だが何も知らなければそう見えるだろ?」

「そうかも知れませんが……」

エリック殿下が予想外の効果がありそうだと笑っている。

「ドラゴンと英雄である伯爵を連れてきたとなれば、王位を問題視する声は無くなるだろう」

「実情は違います」

「勘違いさせておけば良い」

モイラおばさんが国が割れないように、噂程度であれば好きにして良いとキャサリン殿下に伝えている。

エリック殿下が甘えておけとキャサリン殿下に助言をしている。

キャサリン殿下は迷った様子だ。

キャサリン殿下は事実でない事を利用するのを躊躇っていると言う。

王都に帰ってから話し合うと、キャサリン殿下はモイラおばさんに部屋を用意して欲しいと侍女に案内を頼んだ。

アレックスも一緒に退出する。

少しすると母とモイラおばさんが揃ったからだろうか、屋敷の中が騒がしくなった。

流石に問題だったようで、マシュー閣下が引き締めると浮き足だった雰囲気は無くなる。

ゲラノスを出発するのは二日後の早朝となった。

王都へと帰る道順は行きと同様の街を通っていく予定らしい。

普通なら速度を上げるために風の向きで行きと帰りでは道順が違う。

ドラゴンが三体もいるので、少しでも慣れている街を通っていくことにしたようだ。

マシュー閣下や領主館で働く人たちに盛大に見送られて、飛び立ち始める。

ドラゴンに戻れる位置まで街から離れると、ドラゴンに戻ったトレイシーたちを囲んで王都へ向けと進み始める。

大鳥がこれだけの数揃っていれば普通の魔物では襲ってくることはない。

しかもドラゴンが三体もいれば、魔物を操っている者たちが居たとしても襲うのを止めるだろう。

逆に何もないのでケリーには暇すぎたのだろう。

「暇ね」

「そうかい? ケリーと久しぶりに一緒に飛べて嬉しいよ」

「トレイシー」

ケリーをトレイシーが何とか宥めていてくれているようだ。

王都に着くまで持つと良いのだが……。

行きも休んだ街にたどり着くと大騒ぎとなる。

ドラゴン一体で大騒ぎだったのに、帰りには三体となっているのだから当然騒ぎになるだろう。

それでも一体でなれたからだろうか、割と早くに騒ぎは収束する。

トレイシーがケリーを宥めたり、ダニー長老に時々注意されて何とか王都まで辿り着いた。

行き同様に遠回りしているがドラゴンたちが風除けになってくれたからか、行き同様に九日で王都に帰ってきた。

王都にドラゴンが三体近づけば大騒ぎになると、演習場に立ち寄ってドラゴンから人型になって貰う。

地方の街であの騒ぎだったのだ、王都で騒ぎになれば大変なことになってしまう。

ゲラノスへ向かうときは演習場で集合したので、ドラゴンを王城の結界内に入れたことがない。

このまま王城へダニー長老を連れて行って良いのかが問題となる。

どうするか尋ねる為、演習場で待機する事になった。

「アレックス、まだ王都に着く前ですが、これからお礼を言う暇があるか分からないので先にお礼を伝えておきます。始祖鳥を見に行く為に手伝っていただき感謝します」

「無事目的を達成できて良かったです」

キャサリン殿下は近いうちに、正式に王太子として発表されるだろうと教えてくれた。

儀式的な催しがあるので近いといっても時期は分からないようだ。

アレックスも儀式に参列可能なので、参加するか決めておいて欲しいとの事だった。

キャサリン殿下とメグの付き合いを考えれば参加する事になるとは思うが、貴族的な立ち位置が分からない。

参加しても問題はないと思うが、服装などの問題もありそうだ。

参加するか考えておくとキャサリン殿下に返事をしておいた。

キャサリン殿下との話に区切りがついたところで、後ろに控えていたキンバリーから報酬については後日メグ経由で届けると言われる。

「元々は私が届けるつもりだったが、そんな余裕がなくなりそうだ。申し訳ない」

「忙しいのは分かっていますから気にしないでください」

「メグも申し訳ないが頼む」

「分かったわ」

キンバリーから更にドラゴンや、母やモイラおばさんの事で何回か呼ぶかもしれないと先に謝られた。

どちらも王都だとアレックスが一番近い関係なので呼ばれるのは仕方がないだろう。

キンバリーに頷いて問題ないと伝えておく。

そう長い時間喋っていた訳ではないのだが、王都の方向から大鳥が十羽ほど飛んで来たのが見える。

キンバリーや周囲の騎士団も気づいたようで大鳥を注視し始める。

大鳥に乗ってきた人物は階級の高いものだったようで、騎士団が敬礼している。

「オーウェン将軍?」

「キャサリン殿下、国王陛下より伝達するようにと任命されました」

「なるほど。国王陛下はどのように判断を?」

「ドラゴンを城内に向かいれるようにと仰せです。アレクシア伯爵とモイラ伯爵についても同様にと」

オーウェン将軍と呼ばれた人は、王城の結界は壊れないように調整してあり、問題が出た場合は対処する事にしたとキャサリン殿下に伝えている。

オーウェン将軍の指示の元、改めて大鳥に乗って王都へと向かう事になった。