軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ワイバーンの革鎧−4

補充できれば使っても良い素材を説明していくと、ハンクさんから王都でも簡単に手に入る物ではないので、使うのはやめた方が良いと助言を貰った。

アレックスの魔法鞄に使った余りなども素材の名前として上げている。

ジョシュが諦めるほどの素材だと考えれば、王都でも手に入れられないのも当然か。

「それに防具四着に付加できるほど貴重な素材が手元にあるのですか?」

「四着ですか? 一着ではないのですか?」

「これはいけない! 勝手に知っていると誤解していました。申し訳ない」

ハンクさんに頭を下げられた。

偶然聞いてしまった内容なので、お互いに話の内容を知っている物だと確認せずに話を進めてしまったようだ。

改めて防具の依頼内容を確認する。

防具の数は四着。一着だけ特殊な形で、他は三着は普通の形。

全ての防具に装飾は施すが、特殊な形の一着だけは特に華美に装飾を施す必要がある。

全ての防具が装飾については完全に決まっておらず、先に防具として完成させる予定だとハンクが説明してくれた。

実際の防具を見て貰いたいとハンクさんが言って店員を呼んだ。少し待っていると、防具はすぐに部屋に持ってこられた。

防具を見て行くと全て女性用のようだ。

特殊な形の防具に関しては戦う事を考えていない設計に見える。

下手に理由を尋ねる事はできないので、詳しい事は聞かずに一つ一つ確認していく。

防具としてはほぼ完成しているように見える。

ハンクさんからも、防具としては今のままでも微調整するだけで使える様になると説明された。

装飾については錬金術で能力を付加してから作業するので、今日持ち帰ってくれて良いとハンクさんが言った後に、何かに気づいたようだ。

「そういえば前回に錬金術をする場所が無いと言っていましたが、確保できたのですか?」

「はい。ハンクさんは路地裏と呼ばれる地区を知っていますか?」

「ええ。存じ上げております。うちのお客様にはギルド員も多いですから」

それなら話は早いと路地裏に店を構えた事をハンクさんに伝えた。

ハンクさんから店の場所と名前について聞かれて、店の名前を決める事を忘れていた事に気づいた。

店の名前をまだ考えていない事をハンクさんに話すと、早めに店の名前は決めた方が良いと言われる。

今はとりあえず、もし用事がある場合は路地裏で元宿屋か、路地裏の錬金術師の場所がどこか聞けば分かるかもしれないと説明しておいた。

開店の準備ができているのだから本当に早く決めないと……。

店の名前の案が頭の中を駆け巡るが、これといった案が出てこない。家に帰ってから時間をかけて考えるしかなさそうだ。

悩んでいるのが分かったのか、ハンクさんから店の名前に多いのは人の名前だと助言を貰う。

アレックス商店、アレックス錬金店、どれもしっくりと来ない。

「路地裏の錬金術師もいい名前だとは思いますがね」

「今は路地裏に錬金術師が一人しか居ないらしいので問題は無いですが、錬金術師が増えてしまった時が問題だと思っているんです」

「確かにそうかもしれませんが、店の名前ですから気にする必要はないと思いますよ」

思った以上に店の名前を決める方法は自由のようだ。

店の名前は決まり次第ハンクさんにも伝える事にして、店はしっかりと改装されて錬金術がやりやすい環境になっているので、環境は問題ないと伝えた。

問題があるとすれば素材の発注をする前なので、手持ちの素材しかない事か。

素材を買い揃えるまで多少制限が掛かってしまう。

今回は最高品質の能力付加をするので、一般的な素材はそこまで必要がないので問題は無さそうだ。

ハンクさんに素材の事を説明をすると、必要があれば素材は用意してくれると言う。

ある程度の方向性は決まっているのだが、形が特殊な防具に関しては悩んでいる事もあって、必要があれば頼る事する。

形が特殊な防具を手に持って方向性を考えていると、能力付加と合わせて魔道具にしてしまう方法もあると思い始めた。

能力の付加と魔道具で作り方が大きく違うのは、魔石を使うかどうかになる。

どちらも魔力を使うのは同じだが、能力の付加は空気中の魔力を使って稼働して、魔道具は魔石から魔力を供給されて稼働する。

魔石には魔力を溜め込む性質があるので、空気中の魔力を使う場合に比べると、単純に性能の差が大きく違う。

良いことばかりではなく、作り方は当然魔道具の方が難しくなるし、値段が随分と上がる。

それと魔石は衝撃で割れる事があるので、普通は防具につける事をしない。

しかし今回の防具は戦わない可能性が高い様に見え、魔道具にしても問題は無い様に思えた。

ハンクさんに聞いてみた方が良さそうだ。

「ハンクさん、能力の付加だけではなく魔道具にするのは問題ないですか?」

「今手に持っている形が違う防具ですか?」

「そうです」

「そうですね……。確かにその防具であれば魔道具にしても良さそうです」

ハンクさんの賛成をうけて、どのように魔道具にするかをアレックスは考えていく。

慎重に行動をした方が良さそうな事もあって、ハンクさんと相談して魔道具の機能を選んでいく。

ハンクさんが完全に守りに偏った物を作って欲しいと言う。

防具の装備者を守るような結界を張る事にする。

防具を魔道具にする時につける魔石はダンジョンの魔物から取り出したもになった。防具はかなりの性能になりそうだ。

更に能力の付加も最大限良い物をつけて欲しいとハンクさんがお願いしてきた。

魔道具にすれば性能としては十分だと思う。かなり高価な物になってしまうし、最大限でなくても十分だと若干困惑しながら考えを伝えた。

しかしハンクさんは金額に関しては気にする必要がないので、できる限りの物を作って欲しいと言う。

事情を聞かない様にしていたのだが、話していると徐々にどのような人物が使うのか見えて来てしまった。

大きな店に無茶を言えるだけの人物なのは分かっていた。そんな事をできるのは貴族関係だとは思っていた。

今回の魔道具は錬金術師が作業するだけで金貨数百枚の価値がある。

そこから更に能力の付加をすると更に値段が上がり、更にハンクさんが販売するとなれば金貨千枚近い値段になりそうだ。

そこまで高価な物を急ぎで注文するとなれば、貴族の中でもかなり力がある家、高位の貴族か、王族ではないだろうか?

気づいた事を話してしまったら面倒な事になるだろう。

誰にも言わないように黙っておかないと。

相手がどのような人物かは忘れる事にして、魔道具にするなら装飾に溶け込むように作りたい為、ハンクにどの様な装飾を予定しているのか尋ねた。

「装飾は花を予定しておりました」

「何の花か決まっているんですか?」

「バラにしようかとも考えていましたが、魔道具と合わせた時に合わない場合は、違う花で作り直しても問題は無いです」

「完全に決まっている訳ではないんですね」

ハンクさんが仮の図案を見せてくれた。

装飾は女性的な図案になっている。

装飾も多少防具としての意味があり、弱い部分の補強であったり、斬撃を受け流しやすくする意図がある。

しかし仮の図案にはそのような意図より、華美な事を求めている様に見える。

魔道具にするには多少直す必要はありそうだが、装飾を大きく変える必要は無さそうだ。

魔道具にする場合は装飾も一緒に作ってしまった方が簡単な為、ハンクさんに装飾も一緒に作ると伝える。

ハンクさんも魔道具ならばその方が良いと言ってくれた。ハンクさんは魔道具の作り方も詳しいようだ。