軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16.リアの兄になった日 sideヴィルフリード

「お嬢様を、早く見つけてくださいね」

「人手は足りますか? 何なら私は、この身一つでご一緒に……」

アビーの声は震えていた。ドニもまた、不安を隠せない表情をしている。

二人とも、長い間リアを世話してきた。その心配がどれほど深いものか、痛いほど理解できた。

私は彼らの言葉に答えることなく、ただ静かに頷くだけだった。リアは今、どこにいるのだろうか。見知らぬ場所で、どんな思いでいるのか。

アビーとドニに見送られ、私はリアの探索へと向かう。

リア、待っていてくれ。今すぐ迎えに行く。

ああ。こんなことなら、多少難しくても、位置まで特定できる付与魔法を施しておくべきだった。

自分の愚かさに、思わず歯を食いしばる。リアの居場所を確実に知る術を持っていない自分が、今は憎くてたまらなかった。

隣国の伯爵家の三男として生まれた私は、幼い頃から魔法の才を発揮していた。

魔力の量、魔法の制御、理論理解。そのどれもが年齢不相応だと、大人たちは口をそろえて言った。

将来は魔法省のトップまで行けるのではないか。そんな期待を、周囲から向けられていたらしい。もっとも、私自身はそんなことには興味がなかった。

魔法を学ぶことは好きだった。

いや、正確に言えば、魔法以外のことに、何の興味も示さない子どもだった。

無表情。無関心。無感動。生活のすべてに「無」が付くような人間だった。

誰かに話しかけられても、答えるのが億劫で、ただ小さく頷くだけ。返事を求められれば短く言葉を返すが、それ以上会話を続けようとは思わない。

今思えば、人として欠けているものがあまりにも多い子どもだった。

庭園を歩くときも、花の美しさなど理解できなかった。ただ目的の場所に行くだけだ。

ある日、花壇を踏みつけながら歩いていたら、母が泣いた。

「どうして……そんなことをするの」

そう言われても、理由が分からなかった。道として空いている場所を歩くのと、何が違うのか理解できなかった。

兄たちが話しかけてきても、まともに聞くことはなかった。

会話の途中で本を開き、魔法の理論書を読み始めると、兄たちは怒った。父は怒りはしなかったが、ただ深くため息をついていた。何をもらっても、何を食べても、心が動くことはない。

誕生日の贈り物を受け取っても、特に嬉しいとは思わない。豪華な食事が並んでも、それを「美味しい」と感じることもない。

生きるために必要なものがあればいい。

食事もまた、生きるために口に運ぶだけの作業だ。そこに喜びなどなかった。

喜び、悲しみ、怒り。そういった感情の存在は、知識としては知っている。

本にも書いてあるし、人々の行動を見れば理解できる。だが、それが自分の中にあるのかどうかは、分からなかった。怒っている人を見ると、なぜそこまで声を荒げるのか不思議だったし、泣いている人を見ると、なぜ涙が出るのか理解できなかった。

私の内面には、ただ冷たく無機質な空白が広がっていた。

まるで、何も描かれていない紙のように。

十二歳になった頃。

父に呼ばれ、私は書斎へ向かった。重い扉を開けると、父と母が並んで座っていた。二人とも、どこか困ったような顔をしていた。

そして私は、養子の話を聞かされた。

「ヴィル、実はな。隣国にいる、私の従弟の侯爵がな。お前を養子に迎えたいと言っているのだ」

父の声には、わずかなためらいが混じっていた。

養子?

そんな話は、まったく予想していなかった。

「子供はいないのですか?」

「一人娘がいる。しかし、その娘の婚約者も長男でな。いずれ伯爵家に嫁に出すそうだ。だから侯爵家を継ぐ者がいないらしい」

「……そうですか」

私は特に考えることもなく答えた。

「私は別に構いませんが」

魔法学院に通わせてもらえるなら、それでいい。

それが私の唯一の条件だった。それさえ叶うのなら、環境が変わろうと特に不満はない。私にとっては、どこで生活しようが大した問題ではないのだから。

「そうだよな……お前は、構わないだろうな」

父は苦笑するように言った。

「だが、しかし……」

そこで言葉を濁す。父と母が、ちらりと顔を見合わせた。その視線の意味は、すぐに分かった。

……普通の子どもとは違う。

つまり、そういうことか。それなら最初から、そう言って断ればいいのに。

「お前は優秀だが……まあ、とにかく。一度、侯爵夫妻が会いに来るそうだ。そのつもりでいてくれ」

父は小さく咳払いをした。

「……はぁ」

思わず気の抜けた返事が出る。ああ面倒だ。侯爵夫妻に会うことも養子の話も、そのために時間を使うことも。

すべてが、ひどく煩わしく感じられた。