軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

迷宮核(コア)

そう、ゲートの方の幻想宝具と違って、私はあの暖簾を『理解』しようとして、負荷がかかってしまった。

暖簾が単品で幻想宝具だったら、私はちょっと危なかったかもしれない。

うん。このあいだのシュネルさんのように、ぶっ倒れていただろう。

目覚めない可能性もあった。

あ、でも『理解』するより先に、幻想宝具だって分かるか。

そうだよね、レベルの高い専門家が幻想宝具を見て、再起不能になったら大変だものね。

現に私の目眩はすっかりなくなっていた。

「迷宮が、幻想宝具」

アージット様が耐えきれないように、小さく声をこぼした。

「いえ、迷宮ではなくて、このフロアだけ?」

たぶん、そう。

水の中、天井付近にある球体が、この迷宮の核かなぁ?

あれを水中で天井付近に浮かせている力が、神様の力。

中身が迷宮の力なら、受付の先、見える上下階段には迷宮の力しか感じないので。

確信をもって視認したとたん、カシュンと、『頭の中で音がした』

[迷宮の 核(コア) 確認 発見されました。 第一発見者に幻想宝具『温泉迷宮』の権利、権限が譲渡されます。 迷宮内の人種は、ただちに迷宮外に避難して下さい。 ]

「ふあ?」

「えっ、迷宮攻略されたのか? ここのボス部屋、迷宮主は上か下かも発見確認されてなかったのに」

どうやら頭の中の声は、私意外にも響いたらしい。

アージット様はもちろん、人々はひどく慌て焦ったように顔を強張らせている。

[繰り返します。 迷宮の 核(コア) 確認 発見されました。 第一発見者に幻想宝具『温泉迷宮』の権利、権限が譲渡されます。 迷宮内の人種は、ただちに迷宮外に避難して下さい。 ]

え? これ、戦闘中の人とか、危険じゃない?

私の頭の中に、アリアさんによって造られた迷宮のボスと戦うアージット様達の姿が浮かんだ。

あれはメンバーが強かったから、はらはらしつつも安心して見れたけど、冒険者全員が楽勝で戦っているわけではないだろう。

[第一発見者の要望により、戦闘の中断。魔物の顕現中断いたします。]

待って、カシュンて何かが接続したような音は、私だけに響いたのかもしれない。

本当に、一階の受け付けフロアみたいな、オブジェクト内のあれが核だなんて、普通気づかない。

アージット様が言ったように、迷宮の核がボスを倒した後、得られるモノとしての認識なら。

第一発見者、完全に私だ。

「良かった、最悪の事態は避けられそうだ」

「ここは犯罪者は入れない迷宮ですからね、隣国の大虐殺迷宮思い出しちゃって、ちょっと焦りました」

ミマチさんは額ににじんだ汗を拭い、ため息を吐き出した。

「もしかしたら、この迷宮のボス部屋はボス部屋とわからない作りだったのかも」

エンデリアさんが呟くのに、私は首をかしげた。

「ボス部屋の発見と挑戦は、事前報告が世界法で決められているのだ。昔、隣国最大の迷宮で核を得た冒険者が、核を取り込んで迷宮ボスになって人々が避難す間もなく迷宮内をぐちゃぐちゃにした上、魔物も大量発生させてな」

「ひぇ」

「しかし、迷宮が幻想宝具とは」

「権利と権限でどこまで、何ができるのでしょうか?」

エンデリアさんの呟きに、私はふと戦闘職でなくても迷宮産の物を手に入れられて、楽しめるモノが欲しいなと思った。

前世の友人や先輩達が、携帯ゲームや店先のオモチャで、きゃっきゃっしていたことを思い出す。

ガチャ、みたいな。