軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

期限

『ん、落第点ね・・・・「あー、通じないわね。あなた達弱過ぎ。この子を治す気あるの?」

日本語を止め、この 国(せかい) の言葉でアリアさんは言って、手を差し出した。

そこへふわりと、国布精霊さんが現れ・・無事な手を置いた。

シャラシャラと、レース編みで作ったドレスが音を奏でる。

アリアさんはあのホラーなボスが、私が国布精霊さんから散らした呪いを形にしたモノだと説明を始め

私は現れた国布精霊さんの手に、新たな手袋を作りはじめた。

勿論糸はアリアさんの金糸だ。

この糸、魔力を混ぜると、しなやかな硬さを持つ

動くと、なんだか綺麗な音を立てる。

そして魔力を混ぜないと、他の糸とくっついてしまう・・・・布状にしたい所はいいが、最初レースの編み目が潰れた時には悲鳴を上げてしまった。

アージット様方と、アリアさんの話し合いは片耳で聞きつつ

教えて貰った模様を編み込む。

タペストリーの上部にもあった、浄化の魔法陣だ。

ただアリアさんは素材提供者側で、制作者ではないので、私が会見で見た物を再現するしかない。

ここは魔力混ぜて、こっちは混ぜないでくっつけて・・・・編み図を脳内で設計する。

この腕は、いずれ切り落とされる。

そうすると、アリアさんが干渉しなくても、魔物化してしまう・・・・散らした呪いで、あのホラーだ。

この腕が丸ごと魔物化したら、どんなラスボスが生まれてしまうか分からない。

ちょっとでも、力を削がないと・・・・

って、こともあるけど、練習しないと!の、方が意識としては強い。

これまで、魔力は混ぜない混ぜるの二択しか無かった。

だいたい手の早さは変わらない。

でも、手の早さがここで弊害となった。

頭の中で設計した編み図を、手は無意識下で制作しようとしてしまう。

ここは魔力混ぜて、ここは混ぜない・・・・その調整に慣れてないのだ。

うぁああ!

ミスしそう!

でもゆっくりもしてられない!

呪いが染み出して、私を認識しようとする指先から、追いつかれないように封じ込めないといけないので。

アリアさんの金糸は、ちゃんと消えずに残った。

数週間かけて、浄化しながら消えていくらしい。

うん

私の最初に作った手袋では、呪いを散らすだけで、そのうちまた呪いに引き寄せられ元に戻ってしまうのだ。

アリアさんが魔物化したモノを、倒さない限り意味無かった。

治療になって無かったのには、正直落ち込んだ。

私は私の 加護(ちりょう) 縫いを、過信していたのだ。

『その場の誰も気づいてなかったのだもの、仕方ないし・・・・少しの間でも、あの子の負担が減るのは良いことよ』

と、アリアさんは言ってくれたけれど。

魔物化は浄化の魔法陣より効率悪いし、危険性も高いのだ。

慣れと過信は、成長性を妨げる。

ミシンよりも素早く綺麗に縫える・・・・不思議な効力を宿した物が作れる・・

そこで満足してはいけないと、改めて思った。

かなり集中してたから、アージット様達とアリアさんの、その場の会話はほとんど頭に残らなかった。

耳を素通りしてた。

アリアさんの意識の寿命が、もって残り一年ほどだとか

私の蜘蛛がアリアさんほどの力を持つには、早くて数年かかるとか

国布精霊さんの腕は切り落とさないといけないとか

そのために、風属性の高位精霊さんの協力か切断属性のある魔剣が必要とか

切断した腕は、アリアさんか干渉しなくても魔物化するとか

それらは、壁が光になってアージット様方と合流する前に聞いていたから余計に。

ま、アリアさんが高確率で、再び転生するとか、私達が転生者だとかは当然言わない。

日本語には突っ込まれなかった。

アリアさん談

『平気よ、魔力の籠もった物って、資格者しか読めないとか見れないとか、よくあるから。何か聞かれてもよく分からないって顔してれば、相手が勝手に《理解》してくれるわ』

「じゃあ、半年後に結婚式ね」

んん?

いつになく苦戦した編み物を完成させた瞬間、耳に入ってきたアリアさんの言葉に

だから私の思考は追いつかなかった。

「半年、後、結婚?」

誰が?って顔をしていたのだろう。

「アムナート様とハーニァ様、アージット様とユイ様ですね」

いつの間にか私の斜め後ろに控えていたミマチさんが、教えてくれた。

「勿論、切断手段が見つからなければ、もう半年かけなくちゃだけどね」

アリアさんは、ため息をついた。

「この呪いの本体は、もう高確率で個人の判別がついてないわ。王と王妃の 結婚式(くみあわせ) だけで、暴走するかも。でもそれは、この子から切り離しやすくなるってこと」

大切そうに国布精霊さんを撫で、アリアさんは笑う。

「期限は一年しかないし、私が起きられるのも、後二回ほどが限度だもの」

優しい目で私と国布精霊さんを見て、笑ってない目でアージット様達を見た。

「本番もこの子とユイだけしか、守れないから」

半 年 で 死 ぬ 気 で 強く な り な さ い

・・・・って、副音声が、アージット様達の脳内に響いたみたいだった。