軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【76】ペロのスキルを量産することになりました

光っているペロの身体にもう一度、サリアさんが触れる。

すると、金色に光る文字が空中に浮かび上がった。

「これは……!」

サリアさんが小さく声を漏らす。

ちなみに俺にはなんて書かれているかはさっぱりわからない。

そしてペロはお腹を丸出しにして仰向けになっているので、少し居心地が悪そうである。

「これは……正確には“スキルの反射”だけとは言い切れないですね」

サリアさんにそう言われて、俺は口をポカンと開ける。

「え?」

「正確には、“スキルを無効化、もしくはスキルによる契約に対抗する力”です。契約スキルに対抗した結果、力が反射する場合もありますが」

その答えにセイン様が満足げに頷く。

「じゃあ、やっぱりカミシロのスキルは契約・支配 系だな。王太子がカワグチ殿の言うことを聞いていたからな」

「このペロの”スキルの無効化”の力ってお守りみたいにできないですか?」

俺が尋ねると、セインさんが興味深げにこちらの方を見てきた。

「……というと?」

「たとえば、連絡の魔導具みたいに魔力を登録、というか、無効化する力をモノに込めてお守りみたいに持っておくってことは出来ないですかね」

すると、サリアさんとセインさんが顔を見合わせる。

「……ラングスチアでは厳しいがナーミャのサール殿なら出来るだろうな」

「だったらナーミャに行って、無効化のアクセサリー量産して貰います。それをとりあえずラングスチアに必要な分、送りますよ。サリアさん、このペロのスキルってすでに契約済みの人間にも干渉可能ですか?」

その言葉にサリアさんが頷く。

「ええ、可能だと思います」

「セイワ共和国の王太子や国王陛下にもどうにかして渡したいところだね。その作戦は騎士団や魔導士達とも相談して考えるよ」

これで、当面の目標は定まった。

まずはナーミャに行って、ペロの力をモノに変える。

それをラングスチアや、どうにかしてセイワ共和国の王族に渡して、カミシロさんの洗脳を解く。

さらに、鉄道事業を邪魔されないように最新の注意を払うことだ。

「……じゃあ、もう急いでナーミャまで行ってきます。セイン様、魔導塔に連絡だけお願いしていいですか?」

「ああ、わかったよ。気をつけて行ってきてね」

いつも思うけれど、セインさんはなんだかんだで王族らしく割り切ったところはあるが、きちんと俺のことを尊重してくれている。

だから、転移したのがこの国で良かったと心から思った。

グレインさんなどもセインさんがこういう人だからこそ、忠誠を誓っているのだろう。

「はい。行ってきます。ペロ、行くぞ」

その言葉でペロがピョンと飛び起きて尻尾を振った。

「出発じゃな?」

「ああ」

俺達は、皇宮で預かってもらっていたタロウの元に行く。

俺達が乗ると、タロウは嬉しそうに咆哮した。

「グルオオオオオオオオオ!」

こうして、俺達はナーミャの魔導塔へと旅立った。

◇◇

「いやー、しかし、面倒な人が敵にまわっちゃったな」

俺はペロとアイテムボックスの食料を食べながら空の旅をしていた。

ちなみに今日の昼ごはんは屋台で買った肉の入ったクレープと、ラングスチアに来る前に買っておいたペットボトルのジンジャエールである。

ナーミャまではタロウに乗っても二時間ほどだ。結構な長旅である。

「まあ、面倒な奴だからこそ、このようなスキルを選んだ可能性が高いと思うがのう。そもそも、普通の者はこんなスキルを選ばんじゃろう」

ペロにそう言われて、俺は頷く。

「確かに……。いやー、異世界に来て、まさか日本人と争うことになろうとは思わなかったわ」

やっと魔導塔に着いた時はスマホの時計で十五時を回っていた。

「カワグチさんっ!」

タロウで着陸するなり、サールさんが待っていてくれたのか走ってきてくれた。

「サールさん!! すみません、突然来てしまって」

「いえいえ! 聞きましたよ。大変でしたね」

後ろには、魔導士団長のセレディオさんもいる。

「話は聞いている。すぐに作業に移るとしよう。ペロ殿とカワグチ殿、一緒に来てもらってもいいだろうか」

その言葉に俺たちは頷いた。

二人の案内に従って、俺達は案内された部屋へと入っていく。

「へー……凄い部屋ですね」

その部屋は魔法陣が中心にあり、端の方に置かれた机には様々な魔石や魔導具が雑多に並んでいた。

「ええ、この魔法陣の上でスキルや魔法を発動して、それを魔道具に込めていくんです」

セレディオさんがそう言って、ペロを魔法陣の中心に座るように促した。

「よし、それじゃ、始めるぞ」

そう言われて、ちょこんっとペロが座ると、セレディオさんが何か唱える。

すると、ペロの額に十字のマークが出て、白い光で身体が包まれる。

その光は上にある容器のようなものに閉じ込められて、とろりとした青くて透明な液体になった。

「へー、綺麗な色ですね」

サールさんはそう言いながら、容器の蓋を閉めた。

「こういうスキルの力って採取しても本人はなんともないんですか?」

少し心配になって尋ねると、サールさんは頷いた。

「大丈夫ですよ。一日寝たら、元通り使える程度の採取に調整してますから。体調が悪くなることもありません」

そう言われてホッとする。

「それじゃあ私達は、この『スキル』の力をアクセサリーか何かに出来ないか試してみます。今日はフォンティーヌ公爵家に泊まれるように連絡してありますので。本当は王宮でもよかったのですが、ご親族の家の方が落ち着くかと思いまして」

「そうですね。えーっと、いつ頃くればいいですか?」

俺の言葉にセレディオさんが思案する。

「そうですね。少なくとも連絡は明日の昼過ぎになるかと思います。それまでは公爵家でゆっくりして頂いていいですか?」

そう言われて俺とペロは頷いた。

◇◇

「いやー……そうでしたか。色々大変でしたね」

フォンティーヌ公爵家に着くと、クリスさんと公爵夫妻が俺達を出迎えてくれた。

流石にタロウも疲れたみたいなので、たくさん水とサラダチキンをあげた。

フォンティーヌ家で焼いたローストチキンも気に入ったらしく、バクバク食べていた。

公爵家の人達は俺達にも夕食はローストチキンやサラダ、デザートやパスタなどご馳走を出してもてなしてくれた。

「すみません、突然来たのにこんなにもてなしてもらって。そういえば、鉄道はフォンティーヌ領の海辺の街も通るんでしたもんね」

確か、ナーミャの最終駅がフォンティーヌ領の海辺の街だった気がする。

「ええ。お陰様で鉄道もこれから通るということで街も賑わってるのよ。ホテルも視察を兼ねて貴族や商人の宿泊者も増えていて。ありがたい限りですわ」

そう言って公爵夫人がニコニコしている。

どうやら大分潤っているらしい。

料理人も雇ったらしく、美味しい料理と温泉が最高だと近くの街からも評判になっているとのことだ。

「アルカディアにフィオナさんを残してきてしまったので申し訳ないんですけどね。まだ結婚したばっかりなのに……」

「まあ、状況が状況だから仕方ないわ。また遊びに来てくださいね」

義実家に温かく迎えてもらった俺達はホッとした気持ちでその日は眠りについた。

そして次の日の朝、皆で朝食をとっていた時だった。

「公爵様っ!! 大変です! フォンティーヌ領に派遣されていた鉄道測量隊が消えたということです!」

執事が慌てて駆け込んできた。

「……なんだと?! わかった。すぐに向かう」

公爵は苦虫を噛み潰したような顔でそう言った。

「カワグチ殿はサール殿から連絡が来るまでゆっくりしていて下さい。動いたら、逆にスキル無効化のアイテムの受け渡しが遅くなってしまいますから」

クリスさんにそう言われて俺は申し訳ない気持ちで頷いたのだった。