軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【61】海辺のホテルでのんびりしてたら次は魔導士に会うことになった

「このホテル、料理がすっごく美味しいですわ」

フィオナさんと公爵夫人が舌鼓を打った。

俺たちは今、十三階のホテルで夕飯食べている。

スキルAIによると、無人でも一応料理は出てくるらしいが、スタッフを雇うとさらにクオリティが上がるらしい。

これでも十分美味しいのに、さらに美味しくなるとかどんだけなんだ?

そんなことを思いつつ俺はミディアムレアのステーキを頬張った。

ちなみに、高級レストランなのに無人なのでタッチパネル式で、料理はロボットが運んできてくれる。

まるで、チェーンのファミレスみたいだ。

だが、それが逆に物珍しいらしく、ノエルさんや公爵はめちゃくちゃ喜んでいた。

「この、ロボットという魔道具は、人が少ない村などで役に立ちそうだな!」

「ええ、それになんだか可愛くて愛着が湧いてしまうわね」

言いながら、公爵夫人も笑った。

「……これからカワグチ殿はアルカディアをどう発展させていきたいなど、展望はあるんですか?」

ノエルさんにそう言われて、俺は少し考える。

「そうですね。実は、皆さんもプレオープンにいらっしゃっていたのでご存知かもしれませんが、その……セイワ共和国がどうやらアルカディアを狙っているようなんですよね」

それを聞いて、公爵家の三人は渋い顔をする。

「黒装束の者達が出たっていう話があったわよね」

「大丈夫だったのだろうか?」

公爵夫妻の言葉に俺は頷く。

「それは、まあ」

俺が答える横でペロもステーキを食いながら尻尾をブンブン振った。

「なぁに! ワシらにかかればどんな敵も一捻りじゃ!」

いや、ペロは俺の隣でチョコになった大剣をバリバリ食ってただけだろう……。

俺は思わず心の中でツッコミを入れる。

「カワグチ様は凄いのですのよ! 敵も味方も無血で圧勝したんですの!」

そう言って瞳をキラキラさせるフィオナさんはなんだかんだ可愛い。

「……と言っても、攻めてきたのはヴァラの兵だったんですけどね」

すると、公爵が目を見開く。

「……どういうことだ?」

俺はワインをグビリと飲み干したあと、一拍置いた。

「家族になるのでここだけの話ですよ? 実はヴァラの国王陛下が毒を盛られて、宰相が国を回してたんですけど、セイワ共和国とズブズブな感じでして。で、結局セイン様と僕で話に行ったんです。結局王位を引き継ぐのを優秀なソフィア殿下にして、セイワ共和国がヴァラ経由で攻め込まないように国境を塞ぐようにショッピングモールを建てました」

「なんと……。確かに新聞の号外でヴァラがラングスチアの属国になると大きく掲載されていましたが……。そんな経緯があったんですね……」

その言葉に俺は頷く。

「はい。表向きは後ろ盾になるため、とされましたが。実際はアルカディアに攻め込んできたことを国際的に内緒にする代わりに、国境をショッピングモールで埋めるのが目的でした。まあ、その甲斐あって、セイワ共和国が簡単にはアルカディアに攻め込むことが出来なくなりましたので。……今のところ凄く平和です」

「そうか……。それは何というか……。本当にカワグチ殿が無事で良かった。そのヴァラのショッピングモールも楽しみだな」

夕食はステーキの他に、魚料理、パスタや前菜、パンやデザートもあり俺達はすっかりお腹いっぱいになった。

ちなみに、デザートはアイスクリームの他にアップルパイ、ショートケーキ、ガトーショコラ、プリン、フルーツタルト、パンナコッタの中から二種類選べた。

「さぁて、それじゃあそろそろスパにでも行きましょうか。公爵は大きなスパはアルカディアの他に二回目ですか?」

「ああっ! アルカディアのスパは素晴らしかったからな。また大きな浴槽に疲れると思うと楽しみだ」

俺達は一旦部屋に戻ると、タオルなどを用意した。

ちなみに、公爵家の三人が同じ部屋で、フィオナさんと俺とペロも同じ部屋だ。

せっかくなのでスイートルームを使わせてもらった。

部屋にゲームやバーカウンターはもちろん、カラオケまで付いていて、公爵家のメンバーも大興奮だった。

「なんですの?! これは」

興味津々なフィオナさんに、俺はカラオケがどんなものか説明する。

「あとで、皆でやりたいのう」

そんなことを話しながら俺達はスパに向かう。

洗い場で、俺と、ペロとノエルさんと公爵で並んで身体を流す。

「なんだかこういうの、楽しいですね」

嬉しそうにノエルさんは笑った。

「ええ。僕の住んでいた異世界でも大きなスパは人気がありました。特にお年を召した方なんかはスパが好きでしたね」

「なるほどな。貴族の隠居先などに選んでもらえたら結構いい収入もありそうだな」

公爵もどれくらいお金が入ってくるか想像したのかニヤリと笑った。

三人とペロで、大きなお風呂に入りながら美しいフォンティーヌ領の街を眺める。

「……素敵な街ですね」

俺の言葉に公爵とノエルさんが嬉しそうに頷いた。

「ええ。この街は特に美しいものが多いですね。海もそうですし、星もよく見えます。それに、名物の魚料理も美味しいですし。年の一度のお祭りでは美しい踊りを例年披露されるんですよ」

「へえ、それは是非祭りの日も来てみたいですね」

俺がそう呟くと、突然公爵が真剣な目で俺の方を見た。

「──カワグチ様。どうかフィオナを宜しくお願いします」

「ええ。それは勿論。大丈夫です。年をとっても一生フィオナさんには快適に過ごして頂きますので」

なんてったって不労所得を得るためのマンションをわんさか建て放題だからな!

歳をとってもこれで安泰である。テナント料様様である。

「──それは……そう言って頂けるのなら私達も心強い」

そう言ってノエルさんも公爵は顔を見合わせて笑った。

ちなみに風呂を上がってから、俺達は夜遅くまで俺達は部屋でルームサービスを取りながらカラオケをしていた。

フィオナさんも公爵夫人も夕飯たらふく食ったのに、さらにパフェとパスタを注文して残さず食べていた。

どうやらフォンティーヌ公爵家の女性はよく食べるらしい。

◇◇

「そうだ、カワグチ殿。せっかくナーミャに来てくださったので紹介したい人物がいるんです」

次の日の朝。皆で朝ごはんを食べていると、突然フォンティーヌ公爵がそんな事を言い出した。

「……へえ、どんな方なんですか?」

俺が尋ねると、フィオナさんが目を見開いた。

「……もしかして、監視のアンクレットを作ったという魔導士ですか?」

その言葉に公爵が頷いた。

「ああ。最近になって、ようやく彼の正体が明らかになってな。今は魔導塔で働いてもらいながら、ナーミャの国そのもので後ろ盾になりながら、働いて貰っている」

「……確か、魔導士長が彼の作った魔道具に太鼓判を押していたというお話でしたよね? ……どなただったんですか? その方は」

すると、フォンティーヌ公爵は嬉しそうに笑みを浮かべた。

「それがな。きっと、カワグチ様やフィオナも名前も聞いたことがあると思う。カンデラ侯爵家……の名前は聞いたことがあるだろう?」

ん? カンデラ? なんだっけ。聞いたことがあるようなないような……。

俺が首を捻っていると、フィオナさんが目を見開いた。

「……まさか! カンデラ侯爵家のサラ様、いえ、サール様ですか?!」

俺がそれでも思い出せずにキョトンとしていると、フィオナさんが説明してくれた。

「ほら! 私がアルカディアに来たばかりのとき、王子妃の座に娘を就かせようと企んでいた家ですわ! しかも、結局元当主だった兄夫婦の馬車に細工をして家を乗っ取った……。サール様はその兄夫婦のご子息です」

フィオナさんの説明で思わず声が出た。

「……あー! 思い出しました!」

「彼はカンデラ家で虐げられつつも実は独自に研究をして凄い成果を残していたみたいでな。しかも、聞いたところによると、前世、異世界に住んでいた記憶を持っているという。どうだ? 会いにいってみないか?」

俺は食い気味に頷いた。

「是非っ!」

こうして俺は王都に戻った後、公爵と魔導塔にサール様に会いに行くことになった。