軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【54】アルカディア発展中。

「大使館、ここでいいですか?」

結局俺は学校と保育園の隣に大使館を作る事にした。

ペロは、「ここなら遊びに来やすいのう」と言って尻尾をふりふりしている。

「……ああ。大丈夫だ」

無理矢理引っ張り出されたリオネルさんは少し仏頂面だった。

(とはいえ、作れる公共物の中に大使館っていう建物はないから、役場をもう一個違うデザインで作っておくか)

『役場を生成しますか?』

タブレットにそう表示されたので、俺はYESを選択する。

──すると、ゴオオオオオオオッと音がしていつも通り役場が地中から出現した。

どうやら、大きさはグレイスさん達が勤めている役場より一回り小さめである。システムの方で俺の意図を汲み取ってくれたらしい。

「……どんな素材にします?」

デフォルトではコンクリート打ちっぱなしになっており、これはこれでおしゃれなのだが、そこはリオネルさんの好みに合わせてあげたい。

「……では煉瓦造りにして欲しい。ナーミャ王国人に馴染みのある作りの方がいいと思う。それと、大使館だから目の前にナーミャの国旗を飾って欲しい」

そう言われたので、俺はリオネルさんにナーミャの国旗の絵を書いてもらった。

エメラルドグリーンの旗に白い星と月が書いてあるなんだか可愛い国旗だ。

俺は頷くと、オブジェ生成を選択する。すると、いい感じで大使館前に国旗が飾られた。

国旗は飾りなのでオブジェに含まれる……ということらしい。

『建物をコンクリートから煉瓦造りに変更しますか? MPを5消費します』

俺がYESを選択すると、建物が光り輝いてコンクリートから煉瓦になった。

窓もクラシックな雰囲気に変わっている。

「おおお、いいじゃないですかっ!」

外観もなんだ重厚な感じになり、俺のテンションは爆上がりだ。

モチベーションが上がった俺は、大きな塀や柵、それに中には生垣なども作ってオシャレにした。

最初はいじけていたリオネルさんもなんだか嬉しそうな顔になってきた。

「──中に入ってみましょう!」

「……ああ」

俺とリオネルさんとペロで中に入る。すると、その豪華さに豪華さに目を見張った。

──エントランスからすぐ入ったところには寛ぐスペースがあり、まるでホテルのようだ。触り心地の良さそうなソファ、吹き抜けにはシャンデリア、ヨーロッパっぽいアンティークな雰囲気の可愛らしい階段がある。

二階には執務室や会談するための部屋もある。

「おお、これはワシの昼寝スペースに最適じゃのう!」

ペロは嬉しそうにソファに丸くなった。

奥に進むと中庭もあり、そこには美しい花が咲いていた。

「──これはナーミャでよく植えられているティアローズだ! 毎朝涙を流すように一滴花弁の真ん中に魔力を含んだ雫を発生させる事からそう呼ばれている」

そう言ってリオネルさんは目を見開いた。

「……どうですか?」

俺が鼻高々で尋ねると、リオネルさんは頷いた。

「正直、すごく気に入った。ありがとう」

「……元気出ました?」

すると、リオネルさんは苦笑した。

「ああ」

「じゃあ、今日はもう僕働かないんで、僕とペロとリオネルさんで部屋で飲みましょうよ。話くらい聞きますよ?」

俺達はコンビニで酒とツマミを大量に購入して、昼から飲む事にした。

「──あーあ、可愛かったのにな。ソフィアたん」

飲み始めて暫くすると、チューハイを飲みながらリオネルさんが溜息をはいた。

「まあ、でも正直リオネルさんは気に入ってたかもしれませんけど、はたから見たらソフィア王女はあんまり気を持ってた感じじゃなかったですけどね。自分の国を助けて欲しくて精一杯って感じでしたし」

俺がツッコむとリオネルさんが涙目になった。

「──私は一応ナーミャではすごくモテたんだぞ?! フィオナと婚約していたが『殿下』『殿下』と学園でも女生徒達が凄くてな……」

「うーん。で、ハーマンさんの魅了のネックレスにひっかかったと……。気持ちはわかりますけど流石に婚約者がいるのにデレデレしちゃ駄目でしょう。リオネル様がイケメンなのは認めますけど」

すると、リオネルさんが一気にチューハイを飲み干した。

「……お見合いパーティーに可愛い女の子が来てくれるといいな」

「そうですね!……僕もいい人見つかるといいですけど。とりあえず書類仕事が得意な人がいいですね」

結局俺達はダラダラ飲み続けた。そして、帰るのが面倒くさくなったリオネルさんがうちに泊まっていった。

そして、次の日は勿論、二日酔いで具合が悪くなった。

「もー! 今日は一緒に映画を見る予定でしたのに!」

実はフィオナさんとペロと三人で映画を見に行く予定だったのをすっかりと忘れていた。

フィオナさんは文句を言いながらもコーヒーを買ってきてくれたりしてくれた。……優しい。

結局昼過ぎに一本時間を遅らせて映画を見に行き、お詫びに俺が夕飯をご馳走した。

◇◇

数日後、俺はペロと最後の被災地であるメラノ村に来ていた。久しぶりにタロウに乗ったら凄く嬉しそうに炎を吐いていたので、サラダチキンをあげた。

俺は村人達が騎士団のメンバーと村を出たのを確認すると、両手を掲げる。

パアアアッ!!!

家家や畑が白く輝き、俺のアイテムボックスの中に入っていく。

「よーし。全部入ったな」

相変わらず村人全員の家と畑が入るなんてすごいデカさである。

(今回の村は農民が多いって事で畑も多いし、二回に分けなきゃいけないかと思ったけど。結局一回で済んでよかったわ)

そう思いながら俺はタロウに飛び乗った。

「よしっ! タロウ、ペロ。そんじゃ行きますか」

俺が声をかけるとタロウは嬉しそうにグルオオオオオオオオオッと咆哮し、飛び立った。

「のう。カワグチよ。その……もう少ししたら嫁候補が来るじゃろ? どんな女子を選ぶつもりじゃ?」

ペロが心配そうに聞いてくる。

「えー? そうだな。執務もそうだけど、性格が良さそうな奥さんがいいかな」

俺がふわっと答えるとペロが何やら考え込んだ。

「──結婚したら一緒に住む可能性あるんじゃよな?」

その言葉に俺は目を見開いた。

「……そっか。そういうのは、あんまり考えてなかった」

なんというか、単なるビジネスパートナー的なつもりだったのだ。

すると、ペロが溜息を吐いた。

「じゃと思ったわい……。いいか? ワシも一緒に住む事になるんじゃからな」

(うわ、そうだった。なんか、結婚するっていうのも大変そうだな)

そう思いながら俺達はアルカディアへと向かった。

◇◇

「よーし、こんなもんでいいかな」

二時間後。俺はこの前建てた役場と離れた方の学校側の土地に、メラノ村の家を出していた。

いつもと同じように土地も盛り上げる。

スキルを使って、家をサービスで新築同然にした。

さらに、高い土地から地中までエレベーターを作り、今回は普通のスーパーも作ることにした。

(歩くとショッピングモールまでちょっと遠いからな)

『スキルポイントを5消費して、テナント(スーパー)を生成しますか?

MPを10消費します。』

俺がYESを選択すると、ゴオオオオッと音がして一番上の土地にスーパーが出現した。

中に入ると、生鮮食品などが普通に一通り揃うようになっていた。

魚屋やパン、イートインスペースもあり自動販売機や小さなテーブルもある。

さらに、地下まで伸びたエレベーターの下に、ドラッグストアと百均を作っておいた。

あとは、服屋なんかもテナントで地下に何軒か作っておけば大丈夫だろう。

「あー、レベルは上がったけど、流石にこれだけやったらもうMPがなくなったわ。他は明日だな」

明日はスカイファームタワーを二つ作って回収してきた畑を置いていく予定だ。

俺は満足して地下から地上に上がった。

すると、騎士団の皆と村人達の乗った馬車が遠くの方から向かってきているのが見えた。

(……メラノ村の人達もきっと新しくなった家を見たら驚くんだろうな)

喜んでくれるといいなと思いながら、俺はだらだらする為にペロと自分のマンションへと帰っていった。