軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【49】国境にショッピングモールを建てました

「お疲れ様、カワグチ殿! 観光はどうだった?」

十五時くらいに王宮に帰ってコンビニでぼーっと惚けていると、笑顔でセインさんがやって来た。

──ちなみに何故俺が惚けていたかと言うと、その前にコンビニで俺的には信じられない事件があったのだ。

何気なく、現金が少なくなったからATMでお金をおろそうとしたのだが。

なんと元々貯金が1000万円ないくらいだったのに、貯金残高が4000万円近くになっていた。

どうやら、コンビニとショッピングモールの売り上げの取り分が入って来たらしい。

(……すげぇっ! 俺、マジで結構金持ちじゃん。毎月この額が入って来るとか、やべえ)

そして、何買おうかな……と一人で惚けていた時に彼がやって来たのだ。

「……おー。楽しかったです。ヴァラは大きい遊園地があるらしいです。いつかアルカディアにも作りたいですね」

ちなみに昼ごはんは、鶏せんべえを買った店の店主が勧めていた麺料理屋に行った。

細麺の上に、鶏肉がのっているシンプルな感じの麺料理だった。スープが塩味でさっぱりしていて、柑橘系の果物がスライスされてのっており、とても美味しかった。

「──楽しそうで良かったね……」

今度一緒に行きましょう、と誘ったのだが、セインさんはそう言って溜息を吐いた。

「……サミュエル様や国王陛下との話し合いで何かあったんですか?」

「おおむね言った通りかな。国境にショッピングモールはオープンする。

──ただ、流石にラングスチアからこれ以上文官を派遣したくないから、面接やスタッフの育成はヴァラの文官にお願いすることになった。……てことで、悪いんだけどその人達を回していかなきゃいけないから売上の一割はやっぱり最初からヴァラにあげていい? 君の取り分が減るけど」

そう言われて俺は頷く。

「いいっすよ。てか俺、もうそこまで金に困ってないんでヴァラのショッピングモールは三割でいいっすよ。……五分くらいで建てられるんで。

四割ラングスチア、三割ヴァラあたりが妥当じゃないですか?」

あんまり金が入って来すぎるのも怖いからな! 俺はそこそこ臆病なのだ。

「…え! そんなに国が貰っていいの? ──流石に君には頭が上がらないな。ヴァラの侵攻を一人で抑えたのも君だしさ、帰ったら君の爵位、伯爵にするから宜しくね!」

そう言われて思わずキョトンとしてしまった。

「え、それって爵位が上がるとどうなるんすか?」

「んー? 君の場合何もないから安心して。国内での権限が上がるだけ」

セイン様は言いながら、口の端を上げている。どうやら問題ないらしい。

「……そうですか。あ、婚活には支障ないですか?」

「ないよ。好きな相手を選んでくれて大丈夫。前言った条件に当てはまる人じゃないとダメだけど。語学が堪能で、身元がしっかりしているラングスチア人……ね?」

その言葉にホッとする。

「あー、それなら全然いいですけど。そういえば、今の王妃様って、嫁いできたの10年前だったらしいですね。──前の王妃様が亡くなる前まではこの国、問題なかったらしいですよ?」

「……あー。確かにそうだったかも。──そっか。じゃあ周りに優秀な人間をおけば、結構この国、改善されるかもしれないね。僕の方で選んだ人間を王妃と宰相に置こうかな」

セイン様は何やら考え込むような仕草をした。

「──そういえば王妃様で思い出したんですけど、捕まった人達はどうなるんですか?」

「王妃は国外追放、宰相は終身刑かな。セイワ共和国の外務大臣は価値があるかわからないけど、とりあえず、人質になる。ナディア王女は……北の塔に謹慎かな。セイワ共和国との縁談は破談になった。──僕は緩いと思うから、丁度その分、こっちの希望を何かで通そうと思ってたんだ」

そう言ってセイン様は溜息を吐いた。

◇◇

──次の日。俺はドラゴンでペロとセインさん、そしてグレインさんとサミュエル殿下、そしてヴァラの文官三名、兵士二名と一緒に国境に来ていた。

まずは、セイワ共和国がヴァラに入り込めないようにする必要がある。

『ショッピングモール生成を実行しますか?

消費MP:300』

俺は、YESを選択すると、ドラゴンに乗ったまま、国境に手をかざす。

ゴゴゴゴゴ!!!!

──その瞬間、地面から巨大なショッピングモールが地響きを轟かせ、国境を塞ぐように出現した。

「……ほ、本当に一瞬で出て来るのだな……」

流石にプレオープンでショッピングモール自体は見た事があるサミュエル殿下でも、驚いて呆然としている。

セインさんは見慣れたのかニコニコと笑っていた。

「──よし。これで大丈夫だな。このショッピングモールの会員の登録作業はヴァラの方で頼むよ。結局カワグチ殿で厚意で売上が二割貰えるようになったんだからね? 感謝してね」

そう言ってセインさんはじとっとサミュエル殿下を見ると彼は頷いた。

「ええ、勿論です」

(あ、結局三割じゃなくて二割にしたのね。ウケる。あとの一割は交渉で使うってことね)

そう思いながら、俺は国境のヴァラ側に従業員用のマンションをMPを全て使い切るまで建てた。

「さてと。ではこのショッピングモールを最初に取り仕切るのが君たちってことでいいのかな?」

セインさんは同行したヴァラの文官と騎士五人に話しかける。

「はい。頑張ります」

急なことにも関わらず、五人の顔は晴々としている。

「うん。ラングスチアからも三人すぐに送るから。じゃあサラッと中をみんなで見ようか。その後、カワグチ殿、マンションの説明をしてくれる?」

セインさんの言葉で皆でドラゴンからショッピングモール前に降り立った。

ラングスチアから派遣する三人の文官はヴァラのお目付け役ということだ。流石に誰も行かせないで、万が一勝手なことをされるてしまうとまずい。だが、流石に王都からごそっと文官が抜けるのもまずいので、三人だけ派遣する……とのことだ。

入り口には厳重なセキュリティゲートになっている。

会員証を翳して名前や顔が一致しないと出られないようになっているらしい。

どうやら、セイワ共和国の人間を検知してヴァラ側に出さないためにこういう仕組みになっているようだ。

そのまままっすぐ進むとセイワ共和国側に出れる。こちらにもセキュリティゲートになっている。

一階にテナントと広場やイベント会場やドラッグストア、それに飲食店があり、地下にフードコートと食品売り場、二階が服飾店や家具屋、三階が本屋と百均、そしてゲームセンターとカラオケになっているようだ。

映画館はないが、その分カラオケがあり、ゲームセンターの規模がでかい。

「……素晴らしいですね。せっかくだから周りも開発していかねば」

そう言ってサミュエル殿下は興奮している。

「まあ、とりあえずラングスチアの属国になったからにはセイワ共和国の者と今後内密に交易するのは禁止だからね。まあ、そもそも入ってこれないだろうけど」

フードコートにはドーナツ屋やたこ焼き屋の他に、ラーメン屋や唐揚げ専門店などが入っている。

──ただ、スタッフがいないので、今回は購入することは出来ない。結局パンやジュースを購入することになった。

「……そうか。スタッフを手配しないと異世界の食事は食べられないのか」

サミュエル殿下や、ヴァラの文官や騎士達は残念そうだった。だがマンションの中を案内すると、驚きつつも快適な住まいにすっかり舞い上がっていた。

「それじゃ、僕達はこれで王都に帰ります。宜しくお願いします」

──こうして俺達は国境を後にした。