軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

【12】コンビニ飯、騎士団を落とす。

「今日もいい天気だなぁ」

一時間前。俺はペロと一緒にアイスを食べながら地面に横になっていた。

空が広い。空気が美味しい。

あー、異世界にきて良かった!

そんな事を思いながらまったりしていると、マンションの裏側からパッカパッカと馬の蹄の音が聞こえた。

「……カワグチよ。なんか馬の音が聞こえるのう」

「本当だ。面倒だけど、様子でも見に行くかー」

そう言ってペロと一緒にマンションの後ろ側に向かった俺達は目を見開いた。

「な、なんだ?! 大量の武装した人達がいるんだけど!!」

すると、一人代表っぽい人が馬から降りてきた。

それが、先ほどの騎士団長だった。

彼は驚いた顔でマンションを見上げた。

「──なんだ。この塔は」

すると、耳元でペロがぼそりと呟いた。

「いざとなったらワシが追い返してやるわい。だから、この男と話しておいた方がいいんじゃないかの?」

そう言われて俺は笑顔を作って前に出た。もちろん、内心はビビりまくっていたのだが。

「──こんにちは、今日もいい天気ですね! 皆さん大勢でどうしたんですか? どちら様ですか?」

その言葉に彼は彼は訝しげな顔をした。

「……なんだ其方は? 私はこの国の騎士団長、グレイン・サンダースだが」

そう言われて俺はマンションに逃げ込みたくなりながらも答える。

「そうなんすね! 僕この集合住宅の大家です。 この建物の部屋を住民に貸して、お金を頂いて生活してます」

「ワシは神獣のペロじゃ!」

俺が自己紹介すると、後ろからペロも援護してくれた。

「そうか、少し教えて頂きたい。この界隈からドラゴンが隣国に頻繁に行き来しているという目撃情報が商人から寄せられていてな。何か知らないか?」

その言葉に俺はなんとなく嫌な予感がした。

あ、これは誤魔化した方がいいな。

だが、隣のペロがすかさず馬鹿正直に答えてしまった。

「おお、隣国と行き来してるドラゴンというのは、タロウのことかの? のう、カワグチ!! それと、リオネルのドラゴンじゃないかの!!」

こ、このアホ犬ーーーーーーー!!

「ほう……詳しく聞かせて貰おうじゃないか」

グレインさんが無表情のまま口元を上げた。

「えーっと、あのですね……」

「此奴の飼ってるドラゴンの名前がタロウって名前なんじゃわいっ!」

ペロー!!! お願いだから黙ってくれー!!

すると、グレインさんの部下が叫んだ。

「団長! ドラゴンがいました!! この建物の裏で水を飲んでいます」

その言葉に俺はしらばっくれることにした。

「さぁてっと! 僕、そういえば今日は用事があるんでした!! ではこの辺で……」

「──待て」

俺はグレインさんにガシッと肩を掴まれた。

「この犬は隣国の行き来していたドラゴンは其方のものだと言っているが」

──そして、今に至る。

俺は自分のスキルでマンションを建てて、追放された公爵令嬢を保護した事を伝えた。

「そうか。だが、隣国のドラゴンが我が国の所持する領地に無許可で頻繁に出入りするの見過ごすことは出来ない」

「ですよね……まあ、隣国はつい最近まで王族も洗脳されてたらしいんで多めに見て頂けませんか? それにしても、僕てっきり隣国とは友好国で、出入りも自由なのかな、なんて勝手に思ってました」

まあ、正気かどうかなんて関係なく、何回もドラゴンで皆遊びに来てるけどな。

「──普段馬車などは関所さえ通れば確かに自由に出入りするのを許している。だが、ドラゴンは別だ。武力になりうるからな。 それと、スキルでマンションを建てた……ということは貴殿は何も申請などはしないで勝手にこの塔を建てた、ということだな?」

その言葉に俺はビクリと肩を揺らす。

「え、ええ、まあ」

「では、悪いが税金を払え。さもなければこの建物を没収する」

あー。まあしょうがないか。税金を払わないのは良くないもんな。

俺は内心テンションが下がりながらも答える。

「わかりました。えーっと、おいくらですか?」

すると彼は真顔で淡々と告げた。

「売上の三割だ」

その言葉に俺は目を見開く。

何ーーーーーーーーー!!!!!

「えっええ!? そ、そんなに高いんですか?! すみません、そこまで考慮して家賃頂いてなかったんですけど!! そこはど、どうにか待って頂けませんか?! ぼ、僕実は異世界から来たばっかりでそういうの、よく知らずにこのマンション建てたんですよーー!!」

俺はなりふり構わずジャンピング土下座する。

どうだ!

この営業で培ったジャンピング土下座は!!

完璧な角度だろう!!

すると、グレインさんは目を見開いた。

「──何?! 異世界だと?! と言うことは其方は古の勇者殿と同じ世界からきたと言うことか?!」

「その人が同じ世界から来たかどうかはわからないですが!! 僕が異世界から来たのは事実です!!」

俺の言葉にグレインさんは思案顔をした。

「──うむ。確かにこれほどまでに高い建物を建てる技術はこの世界ではまだ見たことがない。……あながち嘘ではないかもしれぬな」

そう言って俺の顔を覗き込んでくる。

「勿論です! あ、そ、そうだ!!コンビニ!!僕の世界に存在する商店がこの建物の一階に入ってるんですよ!!!! それを見たらきっと納得します。えーっと、でも全員が入るとぎゅうぎゅうになっちゃうと思うんで、グレイン様だけ来てもらえますか?」

その言葉に彼は頷いた。

「──わかった」

こうして俺はグレインさんをコンビニに案内することになってしまった。

◇◇

「なんだこれは?!」

グレインさんは驚いた顔をしている。

「これは僕達の世界で流通している商品ですよ。これがお菓子。これはカップ麺という非常食です。お湯を注いだだけで麺料理が楽しめるんですよ」

「なんだと?! 兵糧(ひょうりょう) に最適ではないか!」

俺は自分が作っているわけではないのに得意げになって答える。

「ふふっ。凄いでしょう。あとは、これが異世界の料理です」

すると、グレインさんが驚いて目をくわっと開いた。

「なんだと?! レストラン並みの料理ではないか!これを商店で買えるのか?!」

「はい。そうですよ。あ、皆さんお昼まだですよね?!良かったらご馳走しましょうか?!」

俺の言葉に彼は目を見開く。

「なっ、い、いいのか?!」

「はい。もちろんです。」

約四十人前か。正直金額的に痛いがしょうがないな。

俺が内心溜息を吐いているとペロがクゥーンと擦り寄ってきた。

「ワシが口を滑らせてしまったせいで、すまんな。しょうがないからワシが出してやるわい」

「え、まじで! いいの? さんきゅー!」

──こうして俺はペロマネーでこの国の騎士団にご飯をご馳走することになった。

「「「うまいっ!!」」」

騎士団の人達がカツ丼や親子丼、それに麺類などにがっついている。

ハーマンさんがいきなりたくさん注文が入っててんやわんやになっていた。

「でしょう?この国には無い食べ物だと思うんですがどうですか?」

ニッコリと笑う俺に、グレインさんは思案顔をする。

「──確かにこの世界の技術ではここまでのものは作れないな。……よし。貴殿が異世界人となると話は別だ。其方は皇太子殿下の管轄で保護されることになる」

その言葉に俺は困惑する。

「え。保護? いや、入居者さんもいるし、ちょっとそれは困るんですけど。僕もここ、離れたく無いですし」

「──だろうな。なので、一旦この話は持ち帰らせて貰う。とりあえず、いきなり税金を徴収するようなことは今の所はないから安心しろ」

そう言われて思わず胸を撫で下ろす。

「ありがとうございます。」

「まずは皇太子殿下の御意向をお伺いして、その後其方の扱いをどうするか決めさせて頂こう。──大丈夫だ。悪いようにはしないように私も力になろう。飯も奢ってもらってしまったしな。あと、私のことは様付けではなくて別に良いぞ?」

そう言ってグレインさんはニヤリと笑った。

(やったーーー! やっぱり飯の力は凄いっ!)

「──ではグレインさんで! 良かったらデザートも食べていってくださいっ!」

俺はファミリーパックの高級箱アイスを7箱大人買いした。

「「「うまいっ!なんだこの食べ物は!」」」

さらに騎士達が驚いた顔をしている。

俺は”何卒皇太子様によろしくお伝え下さい”と言ってお土産にコンビニで売っていた中で一番高い純米大吟醸をグレインさんに渡した。

──こうして俺はこの国の皇太子の保護下に入ることが決まった。